睡眠呼吸障害グループ

睡眠呼吸障害グループ

 わが国では2000万人に習慣的にいびきが認められ、そのうち200万人が睡眠時無呼吸症候群と推定されています。患者の多くは生活習慣病である糖尿病、肥満、高血圧症、高脂血症、循環器疾患を合併しているため、睡眠時無呼吸症候群が生活習慣病の増悪因子となる可能性が多方面より指摘されています。我が国における睡眠時無呼吸症候群患者の特徴は顎顔面形態から肥満のみられない患者も多いことが明らかになっています。つまり小下顎や下顎後退が原因となっている患者が多く、睡眠医療における歯科医療の重要性がますます高まっています。医科にて睡眠時無呼吸症候群と確定診断された症例に対して口腔内装置治療が保険適用されるようになり、睡眠呼吸障害の治療が歯科臨床における新しい分野として認められるようになりました。当科では睡眠時無呼吸症候群、いびき、上気道抵抗症候群などの睡眠呼吸障害の基礎的、臨床的研究を行っています。これらの疾患における上気道、軟口蓋の知覚、顎運動や舌運動の電気生理学的研究、顎顔面の形態学的研究、咀嚼、食習慣、歯周病、高血圧や代謝症候群との関連などの疫学的研究をしています。臨床的には当院呼吸器内科、耳鼻咽喉科、その他多くの科の協力を得て非常に多数の症例が紹介受診され、口腔内装置による治療を中心に、口腔外科的手術療法などを行っています。口腔内装置は下顎を前突させ上気道を拡大し、さらに舌筋の活性化によって上気道の解放を維持し、無呼吸の発生を防止します。呼吸器内科で行われるCPAP(continuous positive airway pressure)療法と比較して費用が安く、違和感が少なく、携帯および使用が容易などの利点があり、患者の満足度が高いことが多いです。口腔内装置療法によって血圧が有意に下がることが示され、口腔内装置治療による睡眠時無呼吸症候群に伴う生活習慣病の病態変化を他科と連携して、これらの疾患の関連性を解明することが今後の大きな臨床的課題として取り組んでいます。

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