研究記事一覧

 骨形成因子(BMP)は骨を誘導する蛋白性因子であり、単独で異所性骨形成シグナルとしての作用を有する唯一のサイトカインです。BMPは骨格形成、骨折治癒などのあらゆる生理的骨形成に必須の役割を担うことが明らかになっており、BMP-2についてはその強い骨誘導能から特に研究が進んでいます。BMPは臨床における応用範囲が骨再建、顎変形症治療、骨形成性疾患の診断などと広く、有用性に富みことから近年注目を集め...

 顎関節症とは顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害または顎運動異常を主要症候とする疾患であり、われわれは早くから顎関節造影撮影の導入、顎関節鏡視法による関節腔内の内視鏡的観察の開始、CT、MRIによる画像診断に取り組み、とりわけ顎関節鏡視下手術は、顎関節症の病態解明に大きな進展を与え、本疾患の治療に対し積極的に取り組み治療法を確立し、その臨床成績を報告している。基礎的研究に関しては、顎関節症の...

 損傷された関節軟骨は元の硝子軟骨で修復されない。また、修復のために様々な方法が用いられているが満足のいく方法はない。軟骨文化の過程において、発生の初期において未分化間葉系細胞が将来軟骨のできあがる場所で凝集することから始まる。その凝集塊は位置に固有な増殖と分化を行い、各々の形を持った軟骨原基が形成される。軟骨原基はこの段階ですでにその形が将来の骨の形を表しているため、骨格の鋳型と呼ばれる。さらに...

 先端高度医療として、臓器移植が医療としてほぼ定着し、軟骨や皮膚などの組織再生が臨床応用され始めている。さらに今後21世紀に、最も期待される分野が器官再生である。われわれ歯科口腔外科領域においても、組織工学的な手法を用いた歯牙再生の試みが報告されはじめきている。先日ヒトゲノムドラフト配列が公開され、ポストゲノム研究としてゲノムワイドな疾患遺伝子解析が開始されはじめ、その膨大な遺伝子情報に基づく医療...

 顎矯正とは「顎変形症」と総称される上下顎骨の変形を修正する手術法のことです。顎変形症は上アゴの骨または下アゴの骨、あるいはそれら両者の大きさや形、位置などの異常、上下顎関係の異常によって顎顔面の形態的異常と咬合の異常をきたして美的不調和を示すもの、と定義されます。一般的に「受け口」と言われるような下顎が上顎より前方にある状態を手術で正常にするようなケースが多いのですが、下顎が極端に小さい場合や左...

1)エナメル上皮腫のWnt、Shh-Ptchシグナル系を用いた遺伝子診断 エナメル上皮腫は、日本人におけるもっとも発生頻度の高い歯原性腫瘍であり、本腫瘍の局所での侵襲性には様々な程度のものが存在するにもかかわらず、従来の病理組織学的分類との対応はなく、治療法選択のための診断基準は明確ではなかった。そこで我々は、類似の腫瘍において変異が報告されたCTNNB1とPTCH1とに着目し、解析を行っている。...

 わが国では2000万人に習慣的にいびきが認められ、そのうち200万人が睡眠時無呼吸症候群と推定されています。患者の多くは生活習慣病である糖尿病、肥満、高血圧症、高脂血症、循環器疾患を合併しているため、睡眠時無呼吸症候群が生活習慣病の増悪因子となる可能性が多方面より指摘されています。我が国における睡眠時無呼吸症候群患者の特徴は顎顔面形態から肥満のみられない患者も多いことが明らかになっています。つま...

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